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2015/04/30 (Thu) 07:25

英国セント・キルダ島で知った何も持たない生き方
井形 慶子 (著)



登録情報


文庫: 253ページ
出版社: 筑摩書房 (2013/10/9)
言語: 日本語
ISBN-10: 4480430954
ISBN-13: 978-4480430953
発売日: 2013/10/9
商品パッケージの寸法:  14.8 x 10.6 x 1.4 cm


内容(「BOOK」データベースより)


大西洋上に浮かぶ周囲から隔絶された島、英国セント・キルダ群島。
法律も、医療も、学校も、
十分な食料もない絶海の孤島で暮らしていた36人の島民の生活と社会を、
実在した一人の長老の目を通じて語る。
何も持たない人々の知恵と葛藤。
訪れる人が後を絶たない世界遺産の島、セント・キルダの歴史と魅力を、
イギリス通の著者が日本で初めて紹介した本。巻末に最新の資料を付した。




(Amazonより


家人がスコットランドやアイルランドに興味を持っているのもあり
タイトルの「英国」「セントキルダ」に、その付近の島なんだろうなと手に取った。
セントキルダ。
聖人の名前ではない。
かつてこの群島で唯一人が住むヒルタ島がキルタと発音され、キルダになったのではと伝えられている。
ヒルタとはゲール語で「憂鬱、または死」
「西の土地」という意味もあり「死者が行く西の水平線の向こうにある魂の島」とも言われている。
スコットランドの地図の西。
アウターへブリディーズ諸島にあるルイス島。
その先にある小さな島。
定期航路もない今は誰も住んでいないその場所の歴史をひも解いていく。
つつましく島で暮らしていた人々は時折やってきた人々に振り回される。
遺跡発掘者、牧師、役人。
この土地に長く住んできた独特のスタイルはそのような人々から見れば奇妙に見え
自分たちの英国スタイルを教えようとする。
しかし激しい自然がすべてを壊しもとの生活へともどってゆく。
素朴で人を疑うことを知らない人々。
カツオドリ猟をして仲間と支えあって生きる。
それは協会が進めた、ある意味善意の押しつけから壊れてゆく。
原住民族として見世物になり、お金を手に入れどんどん昔ながらの生活が壊れてゆく。
そして第一次世界大戦後に人々は島を離れだし、ついに誰もいなくなった。
何をもって文化というのか?
ものがあれば豊かなのか?
時代に翻弄された小さな離島の歴史はいまもどこかで繰り返されている。
自立性とは何かと考えさせられた悲しい本でした。

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