ヒロシマ 〈増補版〉
ジョン ハーシー (著),
石川 欣一 (翻訳),    谷本 清 (翻訳),    明田川 融 (翻訳)

登録情報

単行本: 244ページ
出版社: 法政大学出版局; 増補版;新装版 (2014/5/30)
言語: 日本語
ISBN-10: 4588316303
ISBN-13: 978-4588316302
発売日： 2014/5/30
商品パッケージの寸法:  19 x 13.4 x 2.4 cm

内容（「BOOK」データベースより）

「20世紀アメリカ・ジャーナリズムの業績トップ100」の第1位に選ばれた、
ピュリッツァ賞作家ジョン・ハーシーによる史上初の原爆被害記録。
1946年の取材による1~4章は、6人の被爆者の体験と
見聞をリアルに描いて世界に原爆の惨禍を知らしめ、
原水爆禁止・核廃絶の運動に影響を及ぼした。
85年の再訪で成った5章では、
原爆症との闘い、市民としての生活・仕事・活動など、
稀有な体験者たちの戦後史をヒューマンな筆致で跡づける。
5章新訳を増補した決定版。









BSにて放送されている「世界のドキュメンタリー」という番組があります。
先月家人が「好きそうだから」と録画してくれた番組を見ました。
広島に原子爆弾が落とされて、その被害者らがどのような人生を歩んでいるのかを
インタビューし本国へと記事を書き、そして本にした外国人ジャーナリストがいたそうです。
彼は息子や孫に広島で見聞きしたことについて生涯語らなかったそうです。
それをひも解くために、孫であるカメラマンが広島に滞在するといった内容でした。

なぜ語らなかったのだろうか。
戦争はわるいことだよ
と最初は単純に思ってました。
けれど過去の大戦がなかったら存在しなかったであろう開発もあるのは確かで
でもやっぱり平和が一番で
やっぱり戦争体験は語ってもよかったのでは？
(というのは体験してないからこそいえる言葉であって
体験された方々はそう簡単に割り切れるものではないとわかっているつもりです)

そんなわけで戦後70年の夏に読むのも何かの縁でしょうと。

広島で被災された6人の男女の体験が書かれています。
二部構成で、前半は投下された日から数日のあいだのこと
後半は6人のそれぞれの人生が書かれています。

途中で「ん？」と引っかかってはいたのですが
訳者のひとりである谷本氏はこの本の中にかかれている方の一人でもありました。

この谷本氏をはじめ医師とキリスト教にまつわるお仕事をされていた方なので
正直ふつうのいち市民のことだったらよかったのに、と思う気持ちもありました。

夫が戦死してしまったためにミシンひとつで子供を育てていた女性
結婚も決まって会社でまさに仕事をはじめようとしていた女性
教会での朝のお祈りも終わり自室にいた牧師様
ふつうのひとたちがあの日朝のひと時をすごしていたこと。
そこから光があって、気づいたらがれきにのまれていた。
それまで日本各所で空襲があって、広島がいつ空襲されてもおかしくないよねと
はなされていたこと。
もしかしたら広島市民の方々でしたら
「そんなん子供のころから知ってるよ」ということかもしれません。
ほんとうに当たり前の日常だったんだなあ。
そこから70年。
行ったことがないので軽々しく言ってはいけないのかもしれませんが
復興していまは大きな街になっていることに
改めて広島のみなさんの力を感じました。

これは70年前に起きたことです。
ですがこれが二度と起こってはいけないことです。