牛と土 福島、3.11その後。
眞並 恭介 (著)
登録情報
単行本: 272ページ
出版社: 集英社 (2015/3/5)
言語: 日本語
ISBN-10: 4087815676
ISBN-13: 978-4087815672
発売日: 2015/3/5
商品パッケージの寸法: 19.2 x 13.8 x 2.8 cm
内容(「BOOK」データベースより)
東日本大震災から2ヵ月を経過した5月12日、
警戒区域内の家畜に対して殺処分の指示が言い渡された。
処分を受け入れられない一部の牛飼いは、
牛たちを生かすべく力をそそぐ。
困難を極める餌の調達、
警戒区域への立ち入りをめぐる行政との攻防。
やがて、荒れ果てた農地での放牧が、
農地の保全、
ひいては土地の除染の可能性をもつことが判明し、
牛飼いたちは生かされざるべき牛たちが生きる意味を見出していく。
(Amazonより
東日本大震災以降、東北にまつわる本の出版は数多い。
特に一年、二年など節目の三月前後に出るものは特に多いのではないだろうか?
あれから四年がすぎ、震災のことなど
ごくたまに報道される福島第一原発事故関連くらいだろう。
(本来は震災と原発事故は切り離して考えるべきとは思うが
今回は一緒になる場合があるので先に記しておく)
牛と土。
書店で見た時「ああ、この本はこんなニッチな部分から攻めてきたな」と感じた。
昭和経済成長期、繊維産業のもとであった養蚕が下火になった時
東北地方の人々は牛を飼うようになったらしい。
農業のお供としての道具としての牛から
肉や乳を得るための牛として飼育されるようになった。
震災がおきてその牛たちはどうなったか?それについて細かく書いてある。
が、ここに出てくる牛たちはすべて肉牛である。
意外と忘れられているが、牛乳をだす牛は妊娠している。
毎日朝晩の二回搾乳しないと、病気になってやがて死んでしまう。
ヒトも妊娠出産後、赤ちゃんに乳を定期的にあげないと乳がはったり
乳房炎(おっぱいの炎症)になったりする。
牛もおなじである。
あの日、逃げ惑う人々とは対照的に普段通り農作業をしていた人々がいる。
ぎりぎりまで家畜の世話をしてから逃げた人がほとんどだ。
その人々に国は避難区域全域の家畜の殺処分を通告した。
最初は「豚と野生のイノシシが交配すると危険」だとか
「野生になった家畜は危険」との話もあった。
テレビなどで街中を歩く豚や牛をみた人もいるだろう。
飼い主が承諾した場合のみ、殺処分は行われた。
一部その帰宅困難区域、避難区域で牛を飼い続けている人々がいる。
国はそれを認めてはいない。
飼い続ける人々の思い、殺処分を決めてしまった人々の思い。
ともに牛を思っての気持である。
また故郷に戻って農業がしたい!ならばいま何ができるか?
荒れ果てたままにせず牛に草を食んでもらおうと動き出している。
目に見えない放射線、これをどうするか?
牛の体内から排除する方法を考えた研究者
殺処分にただするのではなく、放射能をあびた牛を解体することで
その命を今後に役立てようと動いた研究者
この本に出てくる人たちはみんな朴訥でまっすぐです。
語られなかった現状を知る一冊としておすすめです。
っていうのはまあ一般的な表向き書評です。
諸表に個性とか感情なんか本当はいらないのでしょうけれど
ちょっとだけ書かせてください。
牛飼いや家畜飼ってる方が避難するように言われた時
チェルノブイリの時の人々とおんなじで
すぐ帰ってこれるだろう。せいぜい一年くらいかな?と思った時
牛を牛舎から放すことなんてできないんですよね。
家畜ってどうしても糞尿が出ますし、それゆえに近所からクレームもあります。
本当は自分で餌さがしてでも生き延びてほしい。
でも戻ってきた時、近所の家や庭や畑を荒らしてたら?
今後どこでやればいいの?
もう泣く泣く閉じ込めて、飼料をやまほどおいて去ったわけです。
それを動物愛護団体が放ったんです。勝手にね。
それがもとで庭や畑が荒らされたと連絡がきて
あわてて避難所から駆けつけたら
牛舎の中に知らない人が・・・
そんなこともありました。
現在家屋が除線されて、もうだれもいない牛舎は一番最後に取り壊しされるそうです。
亡くなった命もありましたが
いま生きてる浪江町の牛たちはどうか殺処分されませんように。
賠償金とかおかねじゃなくて、ただ帰りたくて
もとの生活に戻りたいだけなんです。
そういう人がいるってたまに思い出してほしいのです。
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