男性漂流 男たちは何におびえているか
奥田 祥子   (著)

登録情報

新書: 224ページ
出版社: 講談社 (2015/1/21)
言語: 日本語
ISBN-10: 4062728877
ISBN-13: 978-4062728874
発売日： 2015/1/21
商品パッケージの寸法:  17 x 11.6 x 2 cm

商品の説明

内容紹介

語られざる男性たちの苦悩を描いて、ベストセラーになった『男はつらいらしい』(新潮新書)。
男たちはさらに歳を重ね、結婚、育児、介護、自らの老い、そして仕事に葛藤していた──。
ジェンダー論者やフェミニズム論者のような一面的な「男社会」論からは
こぼれ落ちてしまう中年男性たちの悲哀と苦悩。
10年にわたる取材を通して浮かび上がる、決して予定通りにはいかない人生の難しさ。
少子高齢化、未婚社会、介護離職、老後破産……
取材対象者の姿を通して見えてくるのは、日本社会がリアルに抱えるリスクの実態。
 自身、リストラ・未婚・老親介護の苦悩を抱えながら、
一取材者として“異なる性”である中年男性たちと向かい続けてきた女性記者が、
足で稼いで掴み取った生々しいホンネの証言の数々。
 現代日本社会の知られざる側面を炙り出す、現代人必読の良質なドキュメント。
その先に、浮かび上がってくる「自分自身」の姿に、読む者は戦慄する。

山崎まさよしの曲に長男といううたがあります。
本家の長男は大変という内容です。

本書はこの本家の長男以上に過酷な
女性の知らなかった男性の一面が書かれています。
そして著者の粘りの結晶ともいえる本です。
取材対象の人に数年にわたって何度も取材を重ねてきたからこそ見えてくるもの。
こういったものは最近少ないように感じます。

結婚、育児、介護、老い、仕事と人生のターニングポイントにも重なる５つのテーマに沿って書いてあります。
結婚、育児については婚活、イクメンとメディアが取り上げることもあって
「まあ、そうだよねー」となんとなく知ってることもありさらりと読めますが。
介護と老いに関しては、男性特有のこともありぎょっとすることも多々ありました。
現在の政府のいうことは
「女性は結婚をし、出産をしてすぐに働き、育児をしつつ家を買い車も買い
親の介護もこなして、身綺麗にするために消費活動を積極的にしましょう」
真に受ける人もいないとは思いますが
女性だけではなく、男性も同じようにのしかかられているんですよね。
特に介護問題。
妻の親の介護を彼女が担っているので、自分の親の介護をじぶんで…という人が増加してます。
今までは嫁が夫の親の介護が当たり前でしたが（１９７７年）
２０１３までの３５年の間で息子が介護というのは５倍に増加してるそうです。
一般的に家事をしたことがなかった人が急遽介護、といってもそう簡単なことではなく
また男性特有の「誰かに頼るのを極端にいやがる」ことで精神的経済的にも袋小路に…
病院や行政は「ここでこんな福祉サービスあるよ！」と教えてはくれません。
高齢者介護も小児介護も自分から動かない限りそのサービスの有無を教えてはくれません。
女性同士ですと口コミやご近所ネットワークで
どういった方法で申請するといいと、たまに役立つお節介がありますが
男性の場合そう言ったことまで自分からなかなかアクションを起こしにくいようです。

「男だから」とか「夫だから」という思考は
きっと物心ついたときから周囲に延々と言われたことによる刷り込みなのだと思います。
女性にもそういった周囲の圧力があります。
でもその刷り込みにとらわれず、
というのは簡単にみえて難しいこととは思います。
性別関係なく、その相手
妻だったり子供だったり親だったり
その相手とコミュニケーションをとることからはじめてみるのはどうでしょう。
自分じゃないとダメと思い込んでたことに気づくかもしれません。

ただ、なんというか。
老いのテーマで
「薬を服用したら生殖器が元気に復活したので男の尊厳も復活したので試そうと思ったけど
嫁は今更おんなに見えないから若いチャンネーと不倫しました。
でも男だから仕方ないよね！」
は絶対ダメです。
理解しがたいです。
そこは「甘えてんじゃねーぞ！！」でした。
しょーもねーなー…