この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた
ルイス ダートネル (著),    東郷 えりか (翻訳)

登録情報

単行本: 347ページ
出版社: 河出書房新社 (2015/6/16)
言語: 日本語
ISBN-10: 4309253253
ISBN-13: 978-4309253251
発売日： 2015/6/16
商品パッケージの寸法:  19.2 x 13.5 x 2.8 cm

内容紹介

ゼロからどうすれば文明を再建できるのか?
穀物の栽培や鉄の製錬、印刷、発電、輸送機器、医薬品など、
現代生活の基礎となる科学技術をどのように復活させるのか?

【第1章】僕らの知る世界の終焉
【第2章】猶予期間
【第3章】農業
【第4章】食糧と衣服
【第5章】物質
【第6章】材料
【第7章】医薬品
【第8章】人びとに動力を
【第9章】輸送機関
【第10章】コミュニケーション
【第11章】応用化学
【第12章】時間と場所
【第13章】最大の発明

１９９９年に生きてきた人なら覚えていると思う。
ノストラダムスの大予言。
もうすぐ世界がなくなってしまう。
そんなことがメディアで大きく取りだたされた。
世界はなくなることなく今も日常が繰り返されているわけだが。
それは一部の国のだけのことで
戦争状態が激化し、難民となっている人々もいる。
もし世界が壊れてしまったら。
インターネットも通じない、電気や水も使えず
そんな状態を一度は想像したことはあると思う。
一般的には「このサバイバル状態からどう生き延びるか」という内容の本は見かける。
この本は「サバイバルの末生き延びました。じゃあどうする？」といったものです。

温かいごはんがたべたい。
それはどうやって作るか。
お米をといで炊飯器にセットし、スイッチオン。
それは電機が、炊飯器が、お米があってできることだ。
そうやってお米ってつくるの？
たんぼってどうすればいいの？
あいにくお米についての記述はありませんが
（作者がイギリス人なので今回はパン、小麦について記述があります）
かつて使われていた、よく博物館や民俗資料館にあった各種道具を用いて行うことになります。
単純な農具として使われていた鍬や大鎌などが実は便利な画期的発明だったということに
改めて驚きました。
たとえば草刈り。
今はグラインダーや草刈り機などでものの五分もあれば終了してしまいます。
けれど手で行えばそれは何日もかかる大変な作業です。
手から鍬や大鎌があればそれが一気に短縮、かつ体力的にも楽ちんです。
サバイバル状態に陥ったら、まず安全を確保し
そういったものを博物館や民俗資料館に取りに行く。
科学的知識があるとしたら、それを公言しない。
力のあるものに利用されるために危険に陥ってしまう可能性があります。
スーパーマーケットに食料を取りに行くついでにビールも。
のちにビールを作る際に酵母を利用できるかもしれない。
そして大事なのは図書館に向かって本を確保すること。
これからさらに生き延びるための知恵を確保しよう！

世界が消えなければこの本は笑って済まされるものです。
けれど今の世界情勢はいつ何があってもおかしくはないとちょっとだけ本気で思ってしまう状態です。
世界情勢だけでなく、自然環境もめまぐるしく変化してます。
ちょっとぶ厚いですし、癖のある訳なので入り込むのに時間がかかった本書ですが
これから生きるために、読んでおいて損はない本だと思います。

この本を読んだ後でとある民俗資料館にいきました。
その地方へやってきて開拓した先人たちの生活や
その当時使われた道具の展示がありました。
この本に載っていた
「落ち着いたら確保したほうがいい道具」が満載でちょっと苦笑でした。
資料館に展示されている道具はメンテナンスされてはいないので
世界が亡びる前に砥石とそのとぎ方も知っておいた方がいいのかもしれないなと
家人と話し合いました。
こういう目で見れたのは本書のおかげかもしれません。
生き延びるためのアンテナを常に張り巡らすのはしんどいですが
時々自分の生活が壊れた時をシュミレーションするのは大切だと思います。